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ひでの創作集
掌編を中心に書いています。
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くだらない人生
 トンダ女子高校は県内有数のお嬢様学校として知られる。そこの三年撫子組の生徒が立て続けに不祥事を起こした。
 学校の規律に反し、制服姿のまま男子と交流しているのが夜の盛り場で目撃され、学校側の耳に入ったのである。
 生徒二人は停学処分を受け、担任教師もクラスの担当を外された。
 フリーセックス化がハイティーンからローティーンに及んでゆく時代にあって、当校はこれほどに厳しい規律を維持する学校なのである。
 百畳の堤も蟻の一穴からの例えもある。学校側は、規律の緩みと生徒間の連鎖的動揺を抑えるために、当校OBであり、先代校長の孫でもある鬼教頭の異名を馳せる女史をクラスの担任に据えることにした。
 教頭は意気込んでクラスの教壇に立った。
「昨今の度重なる不祥事は、我が校の名誉ある伝統を著しく汚すものです」
 凝った装飾の眼鏡の奥を光らせて、女史は生徒たちをじろりとにらみ回した。
 生徒らは下を向いた。
「幸いにして停学処分ですみましたが、これは私の温情だと思ってください。ただし、今後もふしだらな生徒が次々と出て来るようでしたら考えも変えなければなりません。処分の方法ももっと厳しい方向で検討しなければならなくなるでしょう。あなたたちもよーく考えてほしいのです。こんな大事な一時期を、下品でつまらない男たちと盛り場をうろつき回って過ごす方がいいのか、今は自分の価値をひたすら高め、後々の人生に備える方がいいのか、と。どうですかみなさん。この貴重な時期を無駄にして、どうかくだらない人生だけは送らないようにしようではありませんか」
 生徒たちは下を向き押し黙っている。
「納得がゆかないような表情ですね、あなたたち」
 そう切り出した時、職員が彼女を呼びに現れた。何事かひそひそ話があって彼女は教室を出て行き、ドアがしまった。その時、後ろの方で誰かが叫んだ。
「後々の人生って、先生のように潔癖症を守って男たちをしりぞけ、独身を通してゆくことですか?」
 女史はいったん閉めたドアをあけて首を覗かせる。
「何か言いましたか?」
「いいえ」
 全員は申し合わせたように口を揃える。
「きっと空耳です」
 もう一度ドアがしまった時、再び誰かが叫んだ。
「下品でくだらない男以外の男が世の中にいるなんて信じらんなーい。だから先生独身なんでしょう? 独身、純潔、淋しくないですか。私たちはそれ、イヤなんです」
 堰を切ったように同調の声が噴出した。
「私も!」
「私も!」
「清き水に魚は住まないです」
「世の中、くだらない男と女ばっかりだからいいんです。楽しいんです。そして刺激的なんですうー。そう思いませんか、センセーイ」
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