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ひでの創作集
掌編を中心に書いています。
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愛について
  ある居酒屋で二人の男が恋愛論に花を咲かせていた。
 話がすべて出尽くした後、年配の男は酒臭い息とともにこう若者に切り出した。
「女という人種に対しては、男の立場から言うなら、愛しています、などとは決して言い出さないことだ」
 若者は先輩に対しはなはだ不満を抱いた。
「どうしてです? その言葉は男に背負わされた役割であるような気がしますが」
 すると彼は哀れな子羊を見るような目になった。
「それだ。その姿勢がいけない。子供を産むこと以外、人生にこれといった夢や目標を持たない女にとっちゃあ、この言葉くらい魅惑的な言葉はないじゃないか。これを聞かされたとき、女はおしなべて、キラッ、と目を輝かせるらしいが、俺の女房もその例にもれなかった」
 若者はなおも不満そうである。
「だけど、女たちの幸せの境地はそこにあると思うのですよ」
「無垢なんだ、君は」男は嘆息した。「若い男はみな女たちのうら若い健気さにだまされる。三十年前の俺がそうだった。女房の大きな尻の下で、今はその、愛の力、ってやつをギュウギュウ試されているがね」
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